オンライン「メンバー紹介ビンゴ」でチームの相互理解を促進:手軽なアイスブレイクで協調性を育む
IT企業の開発チームでは、リモートワークの普及により、メンバー間の非公式なコミュニケーション機会が減少し、相互理解の不足や心理的安全性の確保が課題となることがあります。本記事では、このような状況において、チームの協調性を楽しく育むための手軽なアクティビティとして、「メンバー紹介ビンゴ」をご紹介します。このワークは、短時間で実施でき、特別な準備を必要とせず、オンライン環境にも適応可能です。
メンバー紹介ビンゴとは
メンバー紹介ビンゴは、参加者それぞれの個性や経験、趣味などに関する項目が書かれたビンゴシートを用いて、チーム内で該当する人を見つけ出し、コミュニケーションを促すワークです。通常のビンゴゲームと同様に、縦、横、斜めのいずれかの列が揃うことを目指します。
目的と期待される効果
このアクティビティを実施することで、以下の効果が期待されます。
- 相互理解の促進: 普段の業務では知ることのない、メンバーの意外な一面や共通の興味・関心を発見する機会を提供します。これにより、お互いへの理解が深まります。
- 心理的安全性の向上: 共通の話題や個人的な情報が共有されることで、メンバー間の距離が縮まり、気軽に意見を出しやすい安心できる雰囲気(心理的安全性)が醸成されます。
- コミュニケーションの活性化: ビンゴの項目に該当する人を探す過程で、自然な形で会話が生まれ、チーム内のコミュニケーションが活性化します。
- アイスブレイク効果: 会議の冒頭や新たなプロジェクト開始時などに導入することで、場の緊張を和らげ、参加者がリラックスして本題に入りやすくなります。
推奨される人数、時間、必要な準備物
- 推奨人数: 5名から20名程度のチームに適しています。人数が多すぎる場合は、ブレイクアウトルームを活用して小グループに分けることを推奨します。
- 所要時間: 15分から30分程度。シートに記入する項目の数や、交流時間に依存します。
- 必要な準備物:
- ビンゴシートのテンプレート: A4サイズ程度の紙に、3x3または4x4のマス目を作成します。オンラインの場合は、Miro、Google Jamboard、Muralなどの共有ホワイトボードツール、またはGoogle スプレッドシートや専用のWebツールで作成・共有します。
- 筆記用具: 紙で実施する場合。オンラインの場合は、ツールのテキスト入力機能などを使用します。
具体的な実施方法(ステップバイステップ)
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項目の選定とシートの作成(5〜10分)
- パターン1(ファシリテーターが用意): ファシリテーターが事前に、メンバーの個人的な特徴や経験、趣味などに関する項目を20〜30個程度用意します。例:「猫を飼っている人」「最近新しい趣味を始めた人」「海外旅行の経験がある人」「好きな映画ジャンルがSFの人」「リモートワーク中に運動をしている人」など。
- パターン2(参加者が協力して作成): 各メンバーが自己紹介を兼ねて、自身のユニークな特徴や経験をいくつか提示し、それらを項目としてシートに組み込みます。オンラインホワイトボードツールを使用すると、このプロセスも協同で進めやすくなります。
- 用意した項目の中から、ランダムに選んだ項目をビンゴシートのマス目に記入し、参加者全員に配布します。オンラインの場合は、各参加者が自身のコピーを持つか、共有シートを編集できるように設定します。
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情報収集とコミュニケーション(10〜15分)
- 参加者は自分のシートに書かれた項目に該当する他のメンバーを探します。
- 該当者を見つけたら、その人の名前をマス目に記入します。
- オンラインの場合は、Zoomなどのブレイクアウトルーム機能を活用し、数人ずつの小グループに分かれて会話する時間を設けることで、より深い交流を促すことができます。チャットツールで個別メッセージを送る、といった方法も考えられます。
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結果発表と共有(5〜10分)
- 制限時間が来たら、全体に戻り、ビンゴが成立した人を募ります。
- ビンゴになった人、惜しかった人、あるいは印象的だった項目や、その項目に該当した人との会話で得られた発見などを共有してもらいます。これにより、さらに相互理解が深まります。
- オンラインの場合は、挙手機能やチャットでの報告を活用します。
実施上のポイント、ファシリテーションのヒント、注意点
- ポジティブな雰囲気の醸成: ネガティブな要素を含む項目は避け、あくまでポジティブで、誰もが気軽に話せる内容に限定します。
- 質問の仕方への促し: 「〇〇さん、猫を飼っていますか?」といったYes/Noで終わる質問だけでなく、「どのような種類の猫を飼っていますか?」「最近の休日はどのように過ごしましたか?」といった、会話が広がるオープンな質問を促すことで、より深い交流が生まれます。
- 強制しない姿勢: 参加を強制するのではなく、あくまで楽しむことを目的とし、自発的なコミュニケーションを尊重する姿勢が重要です。
- 時間配分: 事前に時間を明確に伝え、適宜経過時間をアナウンスすることで、スムーズな進行を促します。
- ファシリテーター自身の参加: ファシリテーターも積極的に参加し、自らの情報を開示することで、他のメンバーも安心して参加できる雰囲気を生み出すことができます。
リモートワーク/オンライン環境での実施方法
- ビンゴシートの作成と共有:
- GoogleスプレッドシートやExcel Onlineでテンプレートを作成し、各参加者がコピーして利用します。
- Miro、Google Jamboard、Muralなどの共有ホワイトボードツール上で、付箋やテキストボックス機能を使ってシートを作成し、メンバーがリアルタイムで編集・記入できるようにします。
- コミュニケーション:
- ZoomやMicrosoft Teamsなどのブレイクアウトルーム機能を活用し、少人数での会話の機会を提供します。数分の会話時間を設定し、部屋を移動しながら複数のメンバーと交流できるようにします。
- 全体のセッションでは、チャット機能を活用して「〇〇ビンゴ!」と宣言してもらったり、面白い発見を共有してもらったりすることができます。
- ファシリテーション:
- 画面共有でビンゴシートのサンプルを示しながら説明し、ツールの使い方に不慣れなメンバーへのサポートも考慮します。
- ブレイクアウトルームを定期的に巡回し、困っているメンバーがいないか確認することも有効です。
このアクティビティが適しているチームの状態や状況
- 新しいメンバーがチームに加わった際、お互いの人となりを知るためのアイスブレイクとして。
- チーム内のコミュニケーションが停滞していると感じる時、会話のきっかけを作る目的で。
- 定期的なチームミーティングの冒頭に短時間で実施し、リラックスした雰囲気を作り出したい場合。
- チーム間の協力が求められるプロジェクトの開始前に、相互理解を深める目的で。
まとめ
「メンバー紹介ビンゴ」は、リモートワーク環境下においても、チームメンバー間の相互理解を深め、心理的安全性を向上させる非常に有効で手軽なアクティビティです。短時間で実施でき、特別な準備もほとんど不要であるため、日常業務の合間や定例会議の冒頭に気軽に取り入れることができます。
このワークを通じて、チーム内のコミュニケーションが活性化し、個々のメンバーが持つユニークな強みや特性が発見されることで、より結束力の高い、協調性豊かなチームの構築に貢献するでしょう。ぜひ、皆さんのチームで実践してみてください。